本ページではFreeSurfer 7.0でリリースされた海馬・扁桃体のセグメンテーションを行うモジュールについて解説します。
公式サイト: Segmentation of hippocampal subfields and nuclei of the amygdala (cross-sectional and longitudinal)
本モジュールはFreeSurfer 6.0における海馬モジュールの後継として開発されています。海馬と扁桃体を同時にセグメンテーションし、海馬に関してはは追加で3つのボリュームセット(HBT, FS60, CA)を出力します。解析法として下記の3つがあります。
- Recon-allされたT1強調画像のみを使用
- 複数の画像データを用いる(ex. T1WIに加えてT2WIを追加する)
- T1強調画像の縦断的解析を行う
本ページでは1について記載します。予めT1WIを用いたRecon-all後のデータが必要になりますので、FreeSurferのインストール及びRecon-allまでの手順に関してはこちらをご確認ください。
また、MacOSのupdateでデフォルトシェルがzshになっている方は、bashに戻しておきましょう。下記コマンドを入力の上でターミナルを再度立ち上げてください。
chsh -s /bin/bash
インストール
海馬モジュールはFreeSurfer7.0に搭載されているため、追加のインストールは必要ありません。しかし、モジュールの使用のためにMatlabR2014bランタイムが必要になります。下記コマンドをターミナルに入力してください。
fs_install_mcr R2014b
fs_install_mcrが使用できない場合は下記コマンドも試してみてください。
cd $ FREESURFER_HOME / bin && curl https://raw.githubusercontent.com/freesurfer/freesurfer/dev/scripts/fs_install_mcr -o fs_install_mcr && chmod + x fs_install_mcr
また、権限の問題でインストールが上手くいかない際は、インストール先であるusr/local/freesurfer/7.1.1 ディレクトリを対象にchmodコマンドを使って権限を付与しましょう。
セグメンテーションの実行
次に海馬・扁桃体セグメンテーションを行います。Recon-allを実行済みのサブジェクトを用意してください。今回はtest001というサブジェクトを使用します。
cd $SUBJECTS_DIR
segmentHA_T1.sh test001
少し時間はかかりますが、下記のように表示されれば成功です。

freesurfer > subjects > test001 > mri 内に関連ファイルが出力されていることを確認しましょう。

セグメンテーションの確認
[lh/rh].hippoAmygLabels-T1.v21.mgzに0.333mmボクセルのセグメンテーション情報が保存されています。また、[lh/rh].hippoAmygLabels-T1.v21.[hierarchy].mgz ([hierarche]=HBT, FS60, CA)に上述した異なるセグメンテーションが保存されています。
freeviewを用いてセグメンテーションされた画像データを確認できます。
cd $SUBJECTS_DIR
freeview -v \
test001/mri/nu.mgz \
test001/mri/lh.hippoAmygLabels-T1.v21.mgz:colormap=lut \
test001/mri/rh.hippoAmygLabels-T1.v21.mgz:colormap=lut
・HBTセグメンテーション
cd $SUBJECTS_DIR
freeview -v \
test001/mri/nu.mgz \
test001/mri/lh.hippoAmygLabels-T1.v21.HBT.mgz:colormap=lut \
test001/mri/rh.hippoAmygLabels-T1.v21.HBT.mgz:colormap=lut
・FS60セグメンテーション
cd $SUBJECTS_DIR
freeview -v \
test001/mri/nu.mgz \
test001/mri/lh.hippoAmygLabels-T1.v21.FS60.mgz:colormap=lut \
test001/mri/rh.hippoAmygLabels-T1.v21.FS60.mgz:colormap=lut
・CAセグメンテーション
cd $SUBJECTS_DIR
freeview -v \
test001/mri/nu.mgz \
test001/mri/lh.hippoAmygLabels-T1.v21.CA.mgz:colormap=lut \
test001/mri/rh.hippoAmygLabels-T1.v21.CA.mgz:colormap=lut

[lh/rh].hippoSfVolumes-T1.v21.txtには海馬の体積量が、[lh/rh].amygNucVolumes-T1.v21.txtには扁桃体の体積量が記録されています。
筆者の現在の環境は macOS Monterey version 12.0.1です。
追記(2022.7.29): Freesurfer 7.1.1のHippocampalSubfieldsAndNucleiOfAmygdalaにおいて、Label 231-246と解剖学的部位との対応がFsTutorialAnatomicalROIFreeSurferColorLUTに記載されていないようです。4つのラベルの出力内容の違いについては公式サイトをご参照ください。
203 parasubiculum 204 presubiculum 205 subiculum 206 CA1 208 CA3 209 CA4 210 GC-DG 211 HATA 212 fimbria 214 molecular_layer_HP 215 hippocampal_fissure 226 HP_tail 231 HP-body 232 HP-head 233 presubiculum-head 234 presubiculum-body 235 subiculum-head 236 subiculum-body 237 CA1-head 238 CA1-body 239 CA3-head 240 CA3-body 241 CA4-head 242 CA4-body 243 GC-ML-DG-head 244 GC-ML-DG-body 245 molecular_layer_HP-head 246 molecular_layer_HP-body 7001 Lateral-nucleus 7003 Basal-nucleus 7005 Central-nucleus 7006 Medial-nucleus 7007 Cortical-nucleus 7008 Accessory-Basal-nucleus 7009 Corticoamygdaloid-transitio 7010 Anterior-amygdaloid-area-AAA 7015 Paralaminar-nucleus
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