【FreeSurfer】Correlation Analysisについて

前回記事である【FSGD file】FreeSurferを用いたSurface group analysis #1,
【mris_glmfit】FreeSurferを用いたSurface group analysis #2ではグループ間の比較(=Group analysis)を行いました。
本ページでは相関分析(=Correlation analysis)について説明します。

こちらのサイトも参照してください

Group analysisでも同様ですが、Correlation analysisにおいてコントラストファイルを設定するためにDODSとDOSSの違いについて理解する必要があります。

目次

DODSとDOSSについて

DODSはDifferent Offset, Different Slopeの略で、Groupごとに共変量による変化(=グラフの傾き)が異なるモデルです。一方、DOSSはDifferent Offset, Same Slopeの略で、いずれのグループも共変量による変化が同一のモデルになります。用いるデータに適したモデル選択をしてください。

デフォルトではDODSが選択されています。DOSSを使用する場合は、後に再度記載しますが、[ mri_glmfit ]の際に [ doss ]を入力する必要があり、またコントラストファイルのパラメータ数を変更する必要があります。

具体的なパラメータ数の違いとしては、DODSの場合は1つの共変量に対し、Groupの数だけパラメータ数が追加で必要になります。

例:Group A or Bの場合、共変量が2つなら2 × 2 = 4のパラメータが追加で必要

一方、DOSSの場合は『共変量による変化がグループごとに差がない』という前提の元で解しているため、追加パラメータは1つの共変量に対し1つのパラメータのみになります。

例:Group A or B の場合でも共変量が2つなら 2つのパラメータの追加のみで良い

コントラストファイルは Group A or Bの比較のため最初から2つのパラメータが用意されているため、Group A or B + 共変量2つを例に挙げると、DODSでは 6 (2 + 2×2 = 6)のパラメータが、DOSSでは 4 (2 + 2×1 = 4)のパラメータがコントラストファイル内に必要になります。

簡単にまとめるとパラメータ数は以下のようになります。

DODS

(グループ数) + (共変量数) × (グループ数)

DOSS

(グループ数) + (共変量数) × 1

Contrast file の設定

Group AnalysisとCorrelation Analysisの違いはコントラストファイルにあります。
前回記事では2グループ・2つの共変量(Group A/B, Age, Sex)を用いて説明しました。
その際、コントラストベクトルの内容はDODSで設定していたため、

1. GroupA
2. GroupB
3. GroupA – Age
4. GroupB – Age
5. GroupA – Sex
6. GroupB – Sex

となり6つの変数を入力しました。その際、Age, Sexの影響を除いてGroup間の比較をするために下記コマンドを用いて 3〜6 → 0 (= Age・Sexの影響を除外)した上で、 1 → 1 & 2→ -1 (= Group A – Group B )を行い、Group間の比較を行っています。

echo “1 -1 0 0 0 0” > Contrast1GroupDiff.mtx

DODSモデルで相関分析を行う場合には

1・2 (= Group間の比較) → 0
5・6(= 性差の影響) → 0

と設定し、Group間の差・性差による影響を除外した上で

3 (= GroupAの年齢による影響) → 0.5
4 (= GroupBの年齢による影響) → 0.5

とすることで、それぞれのGroupにおける「相関分析の対象としている共変量」の「重みづけ」を調整します。そのため、上記の条件で「年齢に関する相関分析」を行う際には下記のコマンドでコントラストファイルを作成できます。

echo “0 0 0.5 0.5 0 0” > Contrast2AgeSlope.mtx

DOSSモデルで相関分析を行うためには、コントラストファイルのパラメータ数が4つになり以下の内容となります。

1. Group A
2. Group B
3. Age
4. Sex

先ほど記載した通り、『共変量(Age・Sex)がそれぞれのGroupに与える影響は同一』という前提のため4つとなります。DOSSで年齢に関する相関分析を行うとすると、必要なのは 3 のパラメータになるためコマンドは以下のようになります。

echo”0 0 1 0″ > Contrast2AgeSlope.mtx

相関分析の手順

コントラストファイルの作成さえできれば、後はGroup Analysisと同様の手順です。
[ mri_glmfit ]において対象とするコントラストファイルの設定のみ変更しておきましょう。

DODS

mri_glmfit \
–y lh.TestStudy.thickness.10.mgh \
–fsgd TestStudy.fsgd dods \
–C Contrast2AgeSlope.mtx \
–surf fsaverage lh \
–cortex \
–glmdir lh.TestStudy.glmdir

DOSS

mri_glmfit \
–y lh.TestStudy.thickness.10.mgh \
–fsgd TestStudy.fsgd doss \
–C Contrast2AgeSlope.mtx \
–surf fsaverage lh \
–cortex \
–glmdir lh.TestStudy.glmdir

多重比較 [ mri_grmfit-sim ] まで完了したら、Freeviewを起動して確認しましょう。

freeview -f $SUBJECTS_DIR/fsaverage/surf/lh.inflated:overlay=lh.TestStudy.glmdir/Contrast2AgeSlope/cache.th40.neg.sig.cluster.mgh:overlay_threshold=2,5:annot=lh.TestStudy.glmdir/Contrast2AgeSlope/cache.th40.neg.sig.ocn.annot -viewport 3d

自身のStudyで行う場合は、コントラストファイルの対象が目的の共変量になるよう、FSGD fileの設定を変更して使用してください。

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この記事を書いた人

脳神経内科医。脳画像解析と機械学習に関する記事を掲載します。

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